館長日記

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2007年02月08日

石水信至さんを訪ねて -現存の陰にあるもの- 

 先日、だんじり制作で知られる彫刻師を訪ねる機会に恵まれました。

 毎年、虫干し・組立・運行・解体、だんじりに触れる機会が多いかき夫の方であっても、だんじりが制作される過程を見たことがある方はそれほど多くはいらっしゃらないと思います。ましてや、自町内の屋台の制作過程となると、近年屋台を新調したのでなければ、さらに限られてくるでしょう。

 歴史と伝統を誇る西条のだんじり祭りにおいて、私の感じる限り、古い屋台よりも新調屋台が好まれがちなように感じます(もちろん、現在所有するだんじりが建造当初から所有するものなのか、譲り受けたものなのか、初めて所有するのか、など事情の違いもあり一概には言えません)。この傾向に少し違和感を覚えていました。「新しいものは今からでも作れるが、古いものは金を出しても作れない。古い物の貴さはこの点にある」というのが、私の口癖です。だから、今、古い屋台があるならば、これを大事にしようと考えます。

 しかし、だんじりは担いでナンボ、動かしてこそ祭りの華となるものです。年々組み立て、解体していかなければ、傷みも早いと聞きます。当然、経過年数に応じて修復が必要となります。屋台が古ければ古いほど、頻度も高くなりそうです。そして、修復にはそれを創るのと同等、あるいは、それ以上の知識と経験と技量が求められるであろうことも想像に難くありません。

 思うに、形あるものは、大切に格納しておけば、失われる危険を避けることが可能でしょう。一方で、形を作る技術の方は秘伝の技として、大切にしまっておけば、末代まで安泰というわけにはいきません。技術は伝承の機会がなければ、失われてしまうでしょう。この点、二十年に一度行われる伊勢神宮の式年遷宮が如実に語るところだと思います。

 個々の屋台保存からだんじり建造技術継承に目を転ずれば、屋台を新調することは、必ずしも古い屋台を否定するものではなく、古い屋台を建造するにあたり結集された技術の伝承、その技術を現代において目の当たりにする絶好の機会だと言えそうです。そこに技術がなければ、新しいものは作れません。新しいものを作らなければ、技術が伝わりません。技術が伝わらなければ、古いものを維持していくことができないでしょう。

 数百年を経て運行されるだんじりが現存することはすごいことです。それに加えて、設計図や説明書もなしにだんじりを組み立てたり、解体したり、修復したり、新調したりする知識・技術・情熱が現存していることはもっとすごいことだと思います。

 子供の頃、コタツの上で作ったバルサのだんじりを思いながら、現代のだんじり彫刻師の作業場で楽しいひとときを過ごすことができました。

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写真提供  椿本 和夫 様

西条市総合文化会館外観イメージ

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